Kumi Umuyashiki
喜びと、本当の幸せの違い - Happy Yoga: Reason 1 (和訳) #2
Steve Rossが執筆した "Happy Yoga" を、部分的に翻訳しています。
今回は第一章に当たる "Reason 1: You can’t get happy (You can only be happy)" より、P13~P15を和訳しています。
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Happy Yoga by Steve Ross
FEELING PLEASURE VS. TRUE HAPPINESS
喜びと、本当の幸せの違い
ヨガの練習者たちは、喜びと幸せには結構な違いがあるということを知っていた。
欲しい物が手に入ると喜びを得られる。例えば食事、気持ちの良いセックス、洋服なんかがそう。でも喜びは短命であり、気まぐれに起こる。喜びはもったとしても数時間。いつか消えていってしまう。喜びは束の間のもの。でも、本当の幸せはなくならないし、永遠のもの。
ヨガの練習者たちによると、喜びと苦悩は表裏一体だと言う。どちらかが欠けているということはなく、喜びが過ぎると苦しみとなり、苦しみが過ぎると喜びとなる。
食事をしてもいつかお腹が空く。
寂しいから恋をして、また寂しくなって、また別の恋に落ちて。恋人ができても寂しくなったり(カントリーソングの歌詞みたいだけど)。
愛と憎しみ。
戦争と平和。
暑いと寒い。
成功と失敗。
裕福と貧困。
などなど。
本当の幸せってでも、こういう、苦悩と喜びの原則を超越しているんだ。
世界の頂点に立ってるみたいなくらい、喜びを感じる時ってあるよね。
ずっと欲しかった物がやっと手に入ったり、チャレンジを克服したり、恋に落ちた時とか。それは素晴らしい瞬間だ。その瞬間って、心は静かになっている。大きな満足感があって、幸せを一口味わったような感じがする。この「一口」というのが、喜びなんだ。
買ったばかりの家、職場で昇給したこと、本当の愛を見つけたこと、権威のある賞をもらったことなんかによって、喜びが得られるって普通は考える。
でも、実際にはそうではないんだ。
欲しかった物を手に入れたことで、欲望が和らぐ。
欲望が和らいでくれたことで、人は "自然な状態"、"本来の自分" "幸せな感覚" を経験することができる。その幸せな感覚というのは「自分の内側」にいつもあるもので、常に同じ状態で存在している。
この点を理解できていないから、人はストレスを溜めたり、心配したり、苦しんだりする。だって幸せはここではなく、どっか別の場所にあるって勘違いしているのだから。
インドの賢人が言っていた。
人は金の山に暮らしていても、金があるって気づかないって。雨が降るたびに泥が流れて、金が出てくる。人は雨の中を走っていって、金を搔き集めて喜んだりする。人は雨が金をもたらしたって勘違いしてるんだ。だから雨の神様を崇拝したり、自分の時間を割いてでも、雨を喜ばそうとしたりする。干ばつが起こると人は貧困になり、腹ペコになり、雨が降らないことを嘆く。でも金はすぐそこにあるんだ。ちょっとほじくれば出てくる。雨によって自分の中にある金が出てきただけなんだ。自分で中を掘ってみたら、ほら、もう少しところに金があるんだよ。雨に頼ったりしなくても良いんだ。
新しいカッコイイ車が欲しいとしよう。テレビの宣伝でもカッコ良く出てるし、妻も欲しがっている。近所の人も買いなよ~って言ってる。きっと友だち全員「カッコイイね~」って言うだろう。外からそういうプレッシャーがあって、自分でも欲しくてたまらない。「欲しい欲しい欲しい欲しい」ってなるんだよ。「あれさえ手に入れれば・・・」。
この、「欲しい欲しい」っていう感覚が、欲望。
で、やっと車を手に入れたとしよう。喜びを感じる。なぜか?
それは、瞬間的にでも "欲望がなくなるから" なんだ。
欲望がなくなれば、緊迫した感覚がなくなる。未来のことを考えなくても良くなる。心は過去にも行かなくなる。不必要な脳の活動が止まるんだ。
そうすると、自由になれる。
自由になったことでできた空間によって、意識上に喜びの感覚が入ってくる割合が増えるんだ。
車を得ることによって、この幸せを垣間見たのだろうか?もしそうだとしたら、車があればいつも幸せなはずだ。でも、そういう経験ってしたことあるかな? ないと思うんだ。
車を買ってから1週間、2週間、もしかしたら3週間は幸せかも。でもそのうち、別の欲望が出てこないだろうか?
普通の思考回路ってこうなるんだ。「よし、車は手に入った。でも、それ以外の人生はどうしよう。妻はまた別の物を欲しがり出した。仕事は大変だし。家もちょっと小さくなってきた。最近体重も増えちゃったな。」
あれ?車によって得られた幸せってどこにいったんだろう?
車のことなんて、考えもしなくなるんだよね、そのうち。あるいは、車は壊れるしメンテにもお金がかかって、苦悩の原因にさえなる!
あれ?車って喜びから苦悩にすり替わっていったの?
こんな風に、人は人生ずっと、喜びと苦悩のサイクルを繰り返している。喜びと苦悩のサイクルに振り回されている。飴と鞭の法則。次の喜びが来るたびに、「これがやっと永遠に続く喜び」とか勘違いしたりしながら。
これって素早いスリに人生を盗まれているみたいなもんだ。人生を盗まれてるってことにさえも、気づいてないんだ。
別に、家や所有物を手放して、道路で暮らさないと幸せになれないって話ではない。そんなことではまったくない。僧侶みたいに暮らせば欲望がなくなるってわけではない。
持ってることが問題ではないんだ。
所有物に対して感謝するって素敵なことだもの。そして世界で楽しむことだって素晴らしいことだ。苦しみは「持っていること」から生まれるのではなく、「絶え間なく欲しがる」ことから生まれるんだ。
家や食べ物はないと生きていけないから、持っていていいんだ。ああ、持っているんだ、あるんだなって、そのあるがままを受け入れたら良い。
1兆ドル宝くじて当たったら、1兆ドル当たったということを、あるがままを受け入れる。
でも食べ物、家、1兆ドルが、幸せをもたらすだろうか?
食べ物は食べ物、家は家、1兆ドルは1兆ドルでしかない。
それを得た人がどう感じるかは、その人次第になる。
人によっては惨めに受け取る人もいれば、幸せだと感じる人もいる。
つまり、自分次第ってことなんだ。
持ってることが、"本来の幸せ" に影響を与えることはないし、持つことが幸せを約束するものでもない。
覚えておいて欲しい。"本来の幸せ" は、状況に左右されることがないってことを。
喜びは状況に左右される。
本来の幸せは、気まぐれなものではなく、いつもそこにあるもの。
本来の幸せは、マインドの領域を超えていて、対象物を得るとか得ないという条件から自由なんだ。
本来の幸せは、何ものにも揺るがされることがないんだ。
幸せは内にある。あなたそのものが、幸せなんだ。
それは、外からやってくるものではない。
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